治療を受けている間、身体のことだけでなく、眠れない夜や不安に困ることもあります。

そうしたつらさを支える方法として、鍼を用いる研究が進められています。今回取り上げるのは、化学療法中の婦人科がん患者を対象に、不眠のための認知行動療法へ電気鍼を加えた研究です。これは、がんを治療する効果を調べたものではありません。治療中の睡眠や不安を支えるケアについての、小規模な臨床試験です。

この記事の要点

  • 不眠の認知行動療法に電気鍼を加えた、小規模な臨床試験です
  • 質問票の点数の改善は、睡眠時間の増加そのものではありません
  • がん治療の代わりにはせず、関心がある場合は治療チームに相談を

76人を対象に、4週間の追加効果を比較

2026年10月19日、医学誌『Current Oncology』に発表された研究では、76人を無作為に二つのグループに分けました。

一方は電気鍼と、不眠の認知行動療法「CBT-I」を受けるグループ。もう一方は、比較用の偽の電気鍼と、同じCBT-Iを受けるグループです。

電気鍼は、刺した鍼に電気刺激を加える施術です。CBT-Iは、眠りに関する行動や考え方に働きかける治療で、両グループに実施されました。つまり、この研究が調べたのは、CBT-Iを受けている人に電気鍼を加えると、さらに違いが生まれるかという点です。

睡眠の評価は改善。ただし「何時間眠れるようになった」ではない

4週間後、睡眠の状態を質問票で評価したスコアは、電気鍼を加えたグループで、比較群より大きく改善しました。開始時からの変化の群間差は3.11点で、統計的にも有意でした。

ただし、この点数は睡眠時間そのものではありません。「3時間長く眠れた」「誰でも眠れるようになる」と読み替えることはできません。

また、研究では通常の睡眠質問票から服薬に関する項目を除いた修正版を使っています。このため、一般的なスコアの目安と単純に比較し、どの程度実感できる改善だったかを断定するのも慎重であるべきです。

まだ確かめる必要があること

今回の試験は一つの施設で行われ、対象者は76人、介入期間は4週間でした。

さらに、化学療法の詳しい内容や、ステロイドなどの併用薬について、十分な記録・調整が行われていません。これらも睡眠や不安に影響し得るため、結果の解釈には限界があります。著者らも、より大きな試験と長い追跡が必要だとしています。

この研究だけで、一般の不眠や、すべてのがん患者に同じ結果が得られるとはいえません。長期的な睡眠の改善や、がんの治療成績・生存率への影響も分かっていません。

試してみたいときは、治療チームへの相談から

治療中に眠れないことや、不安が強いことは、医療者に伝えてよい困りごとです。

電気鍼に関心がある場合も、まず主治医や治療チームに相談を。「今の治療と一緒に受けられるか」「施術者へ何を伝える必要があるか」を確認し、医療機関と施術者が情報を共有できる形で検討することが大切です。

今回、重篤な有害事象は報告されませんでしたが、少人数・短期間の結果だけで、どのような治療状況でも安全だと判断することはできません。

眠りのつらさを一人で抱えず、相談できる相手を増やすこと。今回の研究は、そのための補完ケアを考える材料の一つです。治療を続けながら日々を少しでも過ごしやすくする方法を、医療者と一緒に探していきましょう。

研究費は上海市の中医薬研究事業から提供されています。著者らは、資金提供者が研究の設計・解析・執筆などに関与していないと記載しています。

東洋びよりからのお知らせ

本記事は、日々の美容と健康について考えるための一般情報です。診断や治療を目的とするものではありません。強い症状、急な変化、長引く不調がある場合は、医師・薬剤師など適切な専門家へご相談ください。治療中の方は、医療者の指示を優先してください。

本記事は広告・PRを含まない編集記事です。

参考情報

参考論文は2026年10月26日に確認しました。