読みたいところから
和漢素材、薬膳発想、巡りを支える。魅力的な言葉が並ぶ健康食品ほど、パッケージの小さな文字を先に確認します。
和漢素材の健康食品とは、なつめ、しょうが、高麗人参、クコの実など、日本や中国で伝統的に使われてきた植物を原料にした食品のことです。ここで大切なのは、同じ植物が漢方薬の原料にもなる、という点です。食品は医薬品ではありません。自分に必要か、無理なく続けられるかを、表示から考えます。
この記事の要点
- まず「一般食品」か「保健機能食品」か「医薬品」か、区分を確認する
- 同じ和漢素材でも、食品と漢方薬では表示できる内容が異なる
- 医薬品であるかのような名称や効能を掲げる食品は、慎重に判断する
- 一日当たりの摂取目安量と注意事項を読み、多く摂りすぎない
- 治療中・服薬中・妊娠授乳中は、購入前に医師や薬剤師へ相談する
買う前に、ここだけ確認
- 何の食品か:商品名だけでなく、食品の区分や表示を見る。
- 何が入っているか:原材料とアレルギー、成分の量を見る。
- どう摂るか:一日の目安量と注意事項を見る。
- 今の自分に合うか:薬や他のサプリメントとの重なりを確認する。
分からない成分があれば、パッケージを薬剤師などへ見せて相談できます。制度の詳しい違いは、必要なところから読んでください。
最初に見るのはどこ?食品の五つの区分
パッケージで最初に確認したいのは、その製品がどの区分に当たるかです。区分によって、表示できる内容と、国の関わり方が変わります。
| 区分 | パッケージでの見分け方 | 表示できること | 国の関わり方 |
|---|---|---|---|
| 一般食品(いわゆる健康食品) | 下のどの表示もない | 体への働きは表示できない | 食品としての一般的なルールのみ |
| 栄養機能食品 | 「栄養機能食品(ビタミンC)」など | 国が定めた栄養成分の働き | 基準を満たせば、届出なしで表示できる |
| 機能性表示食品 | 「機能性表示食品」と届出番号 | 事業者が届け出た機能 | 事業者の責任で国に届け出る。国の個別審査はない |
| 特定保健用食品(トクホ) | トクホのマーク | 許可された保健の用途 | 国が製品ごとに審査し、許可する |
| 医薬品(漢方薬など) | 「第2類医薬品」など | 承認された効能・効果 | 国が承認する。食品ではない |
機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠に基づく表示を行い、国へ届け出る制度です。国が個別に効果を認めたという意味ではありません。2024年に起きた健康被害を受けて制度が見直され、健康被害情報を行政へ提供することが事業者に義務づけられ、サプリメント形状の製品には製造・品質管理の基準が求められるようになりました。
一般食品には、健康の維持・増進に関する機能をパッケージへ表示することはできません。和漢素材をうたう食品の多くは、この一般食品に当たります。
和漢素材の食品と漢方薬は、何が違うの?
同じ植物が、食品にも薬にもなる
なつめ、しょうが、シナモン、みかんの皮、クコの実、はとむぎ、高麗人参。いずれも食品として流通することがあり、漢方薬の原料として使われることもあります。
違いは、素材そのものだけでなく、「何として売られているか」です。漢方薬は、組み合わせと量が定められ、国の承認を受けた医薬品です。同じ素材を使っていても、食品として売られているものは、医薬品としての効能をうたうことができません。「漢方薬にも使われる素材だから、同じように働く」とは言えないのです。
食品には使えない素材がある
厚生労働省は、素材を「専ら医薬品として使用される成分本質」と「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質」に分けています。たとえばセンナ(果実・小葉など)、ダイオウ、ゲンノショウコは、食品には使えない部位や素材として挙げられています。センナのように、茎は食品に使えても、果実や葉は医薬品として扱われるなど、部位によって区分が異なるものもあります。区分は改定されることがあるため、最新の公的な一覧を確認してください。
国内で正規に販売されている食品は、このルールのもとにあります。注意したいのは、海外の通販サイトなどから個人輸入する「ダイエット茶」や「漢方サプリ」です。日本の基準で確認されておらず、医薬品成分が含まれていた例も報告されています。
食品が医薬品のように見える表示に注意
食品が「漢方薬」「漢方サプリ」など医薬品であるかのように表示したり、「○○に効く」と効能をうたったりすることはできません。原材料表示では、食品として適切な名称で示されているか確認します。
生薬名や「漢方」の文字を大きく掲げた食品を見かけたら、表示全体を慎重に確かめます。同じ考え方は化粧品にも当てはまります。詳しくは「東洋発想の化粧品の選び方」をご覧ください。
漢方薬を飲んでいる人は、素材の重なりに注意
漢方薬を飲んでいる方が、同じ素材を含む健康食品やブレンド茶を重ねると、その素材を思ったより多く摂ることになります。たとえば甘草(カンゾウ)は、多くの漢方薬に含まれるうえ、食品やお茶にも広く使われています。漢方薬を含め、薬を飲んでいる方は、購入前にパッケージを持って、薬剤師や登録販売者に相談してください。
ラベルは、どの順番で読めばいい?
店頭でも通販の商品ページでも、次の五つを順に確かめます。
- 区分:上の表のどれに当たるか。機能性表示食品なら届出番号があり、消費者庁のデータベースで届出内容を調べられます。
- 原材料名:使った量の多い順に並びます。うたわれている和漢素材が何番目にあるか、含有量が書かれているかを見ます。主役のはずの素材が最後のほうにあることも珍しくありません。
- アレルゲン:アレルギーの原因になる原材料が含まれていないか確認します。
- 一日当たりの摂取目安量、摂取方法、注意事項:量と飲み方、避けたほうがよい人が書かれているかを読みます。
- 事業者の名称と連絡先:問い合わせ先が明記されているか。体調に変化があったときに連絡できる窓口があるかを確かめます。
複数のサプリメントを使っている場合は、同じ成分が重なっていないかも確認します。多く摂れば、よりよい結果が出るわけではありません。表示どおりに使えない製品は、今の暮らしには合わない可能性があります。
広告で、気をつけたい表現は?
健康食品には、ラベルより先に広告で出会うことがほとんどです。次のような表現を見かけたら、立ち止まってください。
- 「飲むだけで」「○○が治る」「薬に頼らず」など、病気や症状への効果をうたうもの
- 体験談やビフォー・アフターの写真で、効果を強く印象づけるもの。「個人の感想です」と書かれていても、効果の証明にはなりません
- 「医師も推薦」「専門家が開発」とありながら、氏名や関わった範囲が書かれていないもの
- 「初回限定」「今だけ」で急がせるもの。定期購入の場合は、二回目以降の価格、受け取り回数の条件、解約方法を、注文確定前の画面で必ず確認する
買わない判断も、選択肢
健康食品は、主食・主菜・副菜を基本にした食事の代わりではありません。体調の悩みを商品だけで解決しようとせず、食事、睡眠、受診の必要性を一緒に考えます。
和漢素材の多くは、もともと台所の食材です。なつめやしょうが、クコの実は、サプリメントではなく料理やお茶として楽しむこともできます。食卓で味わうことから始めるのも、立派な選択です。
体調に変化があったら、どうすればいい?
- まず使用を中止する
- 症状があるときは医療機関を受診し、使っていた製品を伝える。パッケージと購入記録は捨てずに取っておく
- 製品の問い合わせ先に連絡する
- 困ったときは、保健所や消費者ホットライン「188」に相談する
治療中、服薬中、妊娠・授乳中、アレルギーがある方は、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。お薬手帳に、使っている健康食品も書いておくと、相談がスムーズです。素材ごとの安全性は、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報で調べられます。
よくある質問
Q. 機能性表示食品とトクホは、どちらが信頼できますか?
仕組みが違います。トクホは国が製品ごとに審査して許可します。機能性表示食品は事業者の責任で届け出る制度で、国の個別審査はありません。どちらも、病気を治すためのものではありません。
Q. 「漢方サプリ」と書かれた食品を見かけました。漢方薬と同じですか?
同じではありません。漢方薬は国の承認を受けた医薬品です。食品が医薬品であるかのように受け取れる名称や効能を表示している場合は、慎重に判断してください。
Q. 高麗人参のサプリメントと、人参を含む漢方薬は、何が違いますか?
素材は共通していても、漢方薬は組み合わせと量が定められ、効能が承認された医薬品です。サプリメントは食品であり、医薬品としての効能をうたうことはできません。体調の悩みがある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
Q. 薬を飲んでいます。健康食品について、誰に相談すればいいですか?
かかりつけの医師、薬局の薬剤師、ドラッグストアの登録販売者に相談できます。商品のパッケージとお薬手帳を持っていくと、話が早く進みます。
Q. 天然の植物が原料なら、安全ではないのですか?
天然であることは、安全の保証にはなりません。植物の中には、医薬品としてしか使えないほど作用の強いものもあります。濃縮されたサプリメントでは、食事で摂るより多い量を一度に摂ることにもなります。
東洋びよりからのお知らせ
本記事は、日々の美容と健康について考えるための一般情報です。診断や治療を目的とするものではありません。強い症状、急な変化、長引く不調がある場合は、医師・薬剤師など適切な専門家へご相談ください。治療中の方は、医療者の指示を優先してください。
本記事は広告・PRを含まない編集記事です。特定の商品や事業者を推奨、または批判するものではありません。制度や表示のルールは改定されることがあります。
参考情報
- 消費者庁「保健機能食品について」
- 東京都保健医療局「物の成分本質(原材料)について」
- 国立健康・栄養研究所「食薬区分の実際と問題点」
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」
- 厚生労働省「機能性表示食品に係る健康被害情報の情報提供義務化等に関する説明会」
- 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
- PMDA「くすりQ&A(健康食品とくすりの飲み合わせ)」
参考情報は2026年9月21日に確認しました。
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監修者プロフィール
濱田文恵(はまだ ふみえ)
鍼灸師(はり師・きゅう師)/登録販売者/美容家/国際中医師/国際中医薬膳師/毛髪診断士
日本鍼灸キャスティング株式会社(Acu Cast)代表取締役。ENBICHOJU鍼灸院(東京都江東区)院長。2015年より美容ライターとして活動。美容業界での経験と東洋医学の資格の両方を軸に、「東洋の知恵と、西洋の美容で。」をテーマに発信している。



